「母乳だけの育児」が過去最高という厚労省の乳幼児栄養調査が話題に
母乳のみで育児を知る母親の割合が約55%に達し、10年前よりも16.7ポイント増加していたことが、厚生労働省の調査で判明しました。
この記事の目次
- 1 母乳だけで生後3ヶ月の赤ちゃんを育てたお母さんが5割に
- 2 「乳幼児栄養調査」は赤ちゃんの食事状況を厚労省が10年に1回実施するもの
- 3
- 4
- 5 母乳のみで子育てをした保護者が5割を超えるのは生後1ヶ月と3ヶ月
- 6 混合栄養が35.1%、ミルクのみの人工栄養は10.2%
- 7 「母乳だけで足りているかわからない」という悩みが授乳の悩みで最多に
- 8 食事・栄養状況の調査結果の要因を厚労省は「母乳育児の支援する取り組みがある」こととしています
- 9 今回初めて行われたアレルギーや食生活など、母乳以外の調査
- 10 沢山の人たちが、対処法についてネットで調べたり相談をしています
- 11 生活状況の調査で明らかになっている栄養摂取の違い
母乳だけで生後3ヶ月の赤ちゃんを育てたお母さんが5割に
生後3ヶ月の赤ちゃんを母乳のいで育てていた母親が54.7%を超えるのは、厚生労働省が調査を開始した1985年以降初めてのことで、これにより、母乳育児が社会的に非常に浸透している現実が明らかになりました。
「乳幼児栄養調査」は赤ちゃんの食事状況を厚労省が10年に1回実施するもの
画像引用元:http://nr.nikkeibp.co.jp/bunen/municipality/201203-3/
乳幼児の食事の状況などについて調査する、厚生労働省の「乳幼児栄養調査」は1985年から10年ごとに実施されています。
近年では6歳以下の子供3871人を対象に実施されました。
母乳のみで子育てをした保護者が5割を超えるのは生後1ヶ月と3ヶ月
画像引用元:http://www.jiji.com/news/kiji_photos/20160824ax01_t.jpg
母乳のみで育児をする保護者は生後1ヶ月の赤ちゃんで51.3%、生後3ヶ月で54.7%となっており、前回調査の05年度の42.4%と38.0%を上回りました。
混合栄養が35.1%、ミルクのみの人工栄養は10.2%
母乳のみで子育てをする「母乳栄養」は増加しましたが、「人工栄養」(ミルクのみ)は10.2%と前年比10.8ポイント減になりました。
「混合栄養」(母乳とミルクの組み合わせ)は35.1%で前年比5.9ポイント減です。
「母乳だけで足りているかわからない」という悩みが授乳の悩みで最多に
授乳についての悩みを調査したところ、最も多かった悩みは「母乳が足りているかがわからない」で40.7%でした。
ついで「不足気味になる母乳」が20.4%、「授乳が負担になる」が20.0%となxっています。
食事・栄養状況の調査結果の要因を厚労省は「母乳育児の支援する取り組みがある」こととしています
厚労省は2015年の「乳幼児栄養調査」結果の要因を「母乳育児を支援する取り組みを行っていること」であると分析しています。
実は10年前と比較しても「母乳育児をしたい」という考えを持つ妊婦の割合は増えていません。
しかし、乳児とお母さんを同じ部屋にするといった、出産施設での母乳育児支援が充実してきていることが、拝見にあると言われています。
今回初めて行われたアレルギーや食生活など、母乳以外の調査
2015年に初めて子供の食物アレルギーについての調査を実施したところ、食事が原因とみられるアレルギー症状を起こした経験があるという回答は14.8%となっており、医療機関の受診をしていなかったのは、このうちの11.2%でした。
沢山の人たちが、対処法についてネットで調べたり相談をしています
食事が原因と思われるアレルギー症状が赤ちゃんに起きた保護者の多くは、その対処法についてインターネットや雑誌で調べたり、家族に相談したりなどしています。
また、食物アレルギーに対処するために食べ物の制限を行った家庭の42.1%が医師の指示を受けていないことが明らかになりました。
保護者が自己判断で、制限する必要のない食品まで覗いてしまうと、栄養バランスをとることができなくなる懸念があります。
厚生労働省は、こうした状況の中「命に関わることもあるので、自己判断をせず、医師の指示に基づいた対応をしてください」という呼びかけをしています。
生活状況の調査で明らかになっている栄養摂取の違い
今回の「乳幼児栄養調査」では初めて「食生活と経済的なゆとりの関係」も調査されました。
日々の生活に経済的な「ゆとりがある」世帯と「ゆとりがない」世帯の食事の状況を調べたものです。
経済的な「ゆとりのある」暮らしができている世帯では、子供が野菜や魚、果物を食べる頻度が高い一方で、経済的に「ゆとりがない」世帯ではインスタントラーメンやお菓子を食べる頻度が高いことがわかっています。
また、朝食をとらないことがあるという子供は6.4%となっており、対象とする年齢は異なっていますが、10年前ととても近い水準でした。
しかし、保護者自身が朝食を「ほとんど食べない」「全く食べない」という世帯では、「必ず朝食を食べる」子供の割合が約8割になり、親の食生活を反映したものとなっていました。
「小学5年生を対象とした厚生労働省の研究と同様の結果で、幼児の頃からの傾向だと確認できた。
ゆとりがない層では大豆製品など安いものも摂取が少なく、お金がなくて買えないだけでなく、健康的な食生活のための知識や意欲、調理技術がないことが影響してくる可能性もある。」
新潟県立大学・村山伸子教授(公衆栄養学)
「生活にゆとりのない家庭は、ゆとりのある家庭と比べ、親の年齢が若く、共働きやひとり親も多いと考えられる。
子供の食事内容の差は、金銭的な問題だけでなく、親の食べ物の好みや栄養や健康に関する知識、調理にかけられる時間の差を反映しているのだろう。
栄養バランスの偏りは年齢が低いほど将来の健康問題への影響が大きい。
生鮮食品は買い物が重要なので、時間の余裕がない家庭でも買い物がしやすい流通システムがあるといい。」
女子栄養大学・川端輝江教授(基礎栄養学)