断乳と卒乳、その違いやメリット・デメリットについて
「卒乳」も「断乳」も聞いたことのある言葉だけど、その違いやメリット・デメリット、要するに何をすればいいのか?などわからない事が色々あるかもしれません。
そんな「卒乳」と「断乳」についてまとめました。
この記事の目次
卒乳と断乳のちがいについて
卒乳
卒乳とは、母乳がだんだん出なくなってきたり、赤ちゃんがそれほど母乳を欲しがらなくなるなどが理由で、おっぱいをあげる事を終える事言います。
いわば、赤ちゃんの「おっぱいからの卒業」です。
無理やり母乳をやめさせるのではなく、子供の心身の成長に応じて、自然体でおっぱいから卒業するのが、現在主流の流れとなっています。
断乳
断乳とは、ある日を境に、おっぱいをあげる事をやめる事です。
母乳の出具合や、赤ちゃんの飲みっぷりといった状況に関わらずに、行われるものです。
成長の節目となる
赤ちゃんは生まれるときにへその緒からの栄養供給を断ったの続いて、母親の母乳からの栄養摂取を断ちます。
母親から分離して胎児から乳幼児へと成長発達したのと同じレベルか、あるいはそれ以上に重要な意味を持っていると言えるでしょう。
母乳を断つことは、赤ちゃんの親離れの第一歩として成長の節目となるのです。
子離れの1歩
おっぱいを子供にあげている時、お母さんは言葉にならないような幸せな時間を感じてくるものだと思います。
それをやめてしまう時には、惜しいような寂しいような気持ちになるのは、母親の誰もが感じることですし、当然のことですね。
いずれ子供がお母さんから自立していく過程で、その節目節目に徐々に親子の距離をおくことも大切な事のひとつです。
おっぱいが意味すること
赤ちゃんが1歳になる頃には、母乳なしの離乳食だけでも栄養は満ち足りてくるようになりますが、おっぱいの持つ役割は栄養だけではありません。
赤ちゃんの心と体の成長には、食べ物の栄養素だけではなく、常に安心していられるという環境が非常に大切になってきます。
母親の胸で母親の匂いにするおっぱいによって、赤ちゃんは自分の心を安定させているので、お母さんのおっぱいは赤ちゃんにとって心のベースキャンプとなるものなのです。
悲しいことや辛いことがあるときに赤ちゃんはおっぱいで心を落ち着け、元気になります。
こうしたおっぱいを通して赤ちゃんは信頼を感じ取っていくようになるのです。
断乳と卒乳、どちらを選ぶべきか?
断乳と卒乳のどちらを選択すべきかは、赤ちゃんの発育の具合や個性、お母さん側の都合など、その時々の状況によってより好ましいと思われる方を自由に選ばれると良いと思います。
時期や進め方にもいろいろな考え方があっていいものなので、一つの答えにとらわれる必要はありません。
経験者から聞く卒乳の時期
画像引用元:http://www.unicharm.co.jp/moony/taiken/05_01.html
卒乳したのはいつかを、ユニチャームがアンケートで調べたことによると、最も多いのが1歳〜1歳半未満で47.6%と約半数を占めており、ついで1歳未満が32.7%、1歳半〜2歳未満13.8%、2歳以上5.8%という結果となったそうです。
赤ちゃんは母乳から自然に離れていく、個人差のあるものなので、「いつまでに」という決まりがあるわけではないですし、誰でもいつかは必ず卒業するものなので、焦る必要は一切ありません。
家庭の事情などで卒乳の必要に迫られるなど、計画的に行いたい場合は、「赤ちゃんの心身の発育に合わせる」ことを軸として行うことが重要です。
卒乳の計画的なタイミング
卒乳は本来、自然に訪れるものなので、どんな状態まで赤ちゃんが成長していたら卒乳して大丈夫かの目安を見ていきましょう。
食事のリズムが確立されてきている
卒乳の前提の一つは、母乳以外で食事をきちんと1日3回とれるまで成長していることです。
母乳や粉ミルク以外からも水分を摂れるようになった
卒乳するために大切なことの一つは、幼児用マグカップなど哺乳瓶以外のもので、母乳やミルク以外から水分を摂取できるようになっていることです。
卒乳や断乳をした理由
画像引用元:http://www.happy-note.com/research/10278.html
「卒乳や断乳をしたのはなぜですか?」という質問の答えとして多い順に下記のようになっています。
①自然と欲しがらなくなった
②離乳食をよく食べるようになった
③1歳の誕生日を機に母乳をやめた
④母乳の出がフェイドアウトした
⑤深夜の授乳がしんどかった
赤ちゃんは様々な食べ物や飲み物を口にする量が増えていくにつれて、母乳やミルクなどが入らなくなるのかもしれません。
親としても離乳食をよく食べてくれるようになったら、それで栄養を十分とれているので安心できるため、卒乳するきっかけとなるのかもしれませんね。
でも、ちょっと待ってください
「1歳になったから」「そろそろ断乳したほうがいいと周囲から言われるから」「妊娠したから」などの理由で母乳をやめる必要はありません。
総合的に色々な事を考え、お母さんが納得のできる時期に卒乳や断乳をされるのが良いと思います。
断乳したいその他の理由①:おっぱいが切れたから/おっぱいを噛まれるから
切れた原因や噛まれる理由がわかれば、そこを除去する事で、その後も母乳の子育てを順調に続けて行ける場合があります。
なので、まずはその対応策を試された後に、じっくり断乳について考えるようにされると良いでしょう。
断乳したいその他の理由②:夜中にちょくちょく子供が目を覚ますから
断乳する事によって夜中に起きなくなる子供は、実際に多くいますが、赤ちゃんが全員そうなるわけではなく、特に夜中に頻繁に起きる子は断乳してもほとんど変わらないペースで目を覚ますのが2歳から3歳頃まで続くこともあるそうです。
断乳したいその他の理由③:妊娠したから
かつては「妊娠した時は断乳しないと流産する」と言われていたそうですが、現在は断乳してもしなくても流産率は同じ(全妊娠の15〜20%)であることがわかってきています。
なので、必ず断乳しなければならないというわけではないのですが、辛いつわりがあったり、妊娠中のトラブルなどで授乳に支障をきたすケースもあり、可能であれば断乳して妊娠という順序を踏む方が、母親としては楽と言えるかもしれません。
卒乳や断乳はどんな方法で行うのか?
画像引用元:http://www.happy-note.com/research/10278.html
卒乳には様々な方法がありますが、最も多いのは「量・回数を減らしていった」というものです。
突然やめてしまうと赤ちゃんも驚いてしまうので、慣れさせるために徐々に減らしていくのでしょう。
次に多いのは「自然に卒乳」です。この方法は親子共に負担が少ないことが特徴ですね。
また、「子供に言って聞かせてきっぱりとやめる」という方法を取られる家庭も少なくありません。
母乳やミルクをもらえない理由をしっかり伝えて、子供に納得感を持ってもらえると、スムーズな卒乳が可能になるのでしょう。
へのへのもへじ
画像引用元:https://www.flickr.com/photos/73525784@N00/5552558070
断乳や卒乳するために、その理由を必死に子供に言い聞かせて納得してもらおうとしても、逆効果となってさらにおっぱいにしがみつくようになるケースもあります。
そのようなことが起こりえない方法といえるのが、お母さんのおっぱいに「へのへのもへじ」を書いて赤ちゃんに見せるという方法です。
赤ちゃんは驚いて泣き出したり、面白いものを見たと感じたのか笑いそうになったりというリアクションをするようです。子供ならではの神秘的な感受性を刺激されて、じっとおっぱいを見て戸惑うのだと思います。
そのタイミングでお母さんが「ご飯をしっかり食べるようになったね。大きくなったね。おっぱいとバイバイしてもっとご飯食べて大きくなろうね」など、子供の成長したことをねぎらい、しっかりと褒めてあげると良いのです。
基本について
予告しておく
卒乳をするまで2週間くらいかけて、「そろそろおっぱいをサヨナラしようか」と声をかけるなど、予め伝えてあげてください。
まだ言葉を話せない時期も、1歳を過ぎることにはお母さんの言っていることを理解することができるようになります。
きちんと水分や食事をとる
水分や栄養が不足することのないように、規則的にちゃんと食事と水分を与えるようにしてください。
スキンシップをとる
卒乳や断乳でおっぱいをあげることをやめた時に、子供に「母親から嫌われた」と感じさせないために、子供が甘えたい様子を見せた時やおっぱいを欲しがった時には、しっかりと抱きしめてあげましょう。
幼児の心身の成長には、お母さんの愛情表現が一番の栄養となります。